夏祭りの時に着る浴衣はおしゃれ着としての意味合いが強いので、通年通して着る着物同様に、腰紐やコーリンベルト等の着付けに必要な道具を揃え、帯も半幅帯と呼ばれるカジュアル向けの帯を結びます。
ところで、浴衣と言うのは宿泊施設、特に温泉旅館に常備して有りますが、この温泉旅館で用意されている浴衣はどのように着用したらいいのでしょうか?
夏祭りの時に着る浴衣のように、着物に使うのと同じレベルの着付け道具が揃っているわけではないので、夏祭りの時に着る浴衣の着方をマスターしている人でも、着付けに必要な道具が少な過ぎてどう着たらいいのか分からない事も多いのではないのでしょうか?
そして、旅館側で用意しているもののはずなのに、浴衣で朝食会場に行くのを禁止している旅館と浴衣で朝食会場に行っても良いとしている旅館が有りますが、この違いはなんなのでしょうか?
今回は、この温泉旅館に備え付けられている浴衣のあれこれについて紹介します。
温泉旅館の浴衣はどうやって着付けるのか?
いくら温泉旅館にはなぜ浴衣が常備されているのかが分かっても、実際の着付け方が分かっていないと意味がないので、1番最初に温泉旅館の着付け方法について動画で紹介します。
温泉浴衣 女性編
まずはこちら、女性向けの温泉旅館浴衣の着付け方になります。
夏祭り用の浴衣には、必ず襟元が乱れた時に直すのに欠かせないおはしよりをつける必要があるですが、温泉旅館に常備されている浴衣は男女兼用となるため「対丈(対丈)」で着ることが出来る浴衣なので、おはしよりを付ける必要がありません。
ただ、丈が長くて裾を引きずって歩いてしまう事になる場合はおはしよりを付けて調整する必要が有りますので、女性の場合はあらかじめ腰紐を準備しておくと良いでしょう。
温泉浴衣男性編
男性の場合、温泉旅館の浴衣でも夏祭り用の浴衣と同じ着付けになります。
なので、夏祭り用の浴衣の着付け方が分かっていれば、温泉旅館の浴衣もすっと着ることが出来ます。
なぜ温泉旅館の浴衣で行ける場所といけない場所が有るのか?
ところで、温泉旅館に何回も泊まった事が有る人ならみなさん知っていると思いますが、温泉旅館には旅館側が用意しているものなのに、浴衣を着て行ける場所と浴衣を着て行くのが禁止になっている場所が有ります。
さらに言うと、同じ朝食バイキングの会場なのに、浴衣で行っていい旅館と言ってはダメな旅館が有る。
同じ旅館側が用意した浴衣なのに、この違いはなぜなのでしょうか?
この違いが出来る理由は、今でこそ夏の外出着として使用されていますが、浴衣というものは、元々バスローブか寝巻きとして登場したものと言う事が理由になります。
浴衣の原型で有る「湯帷子(ゆかたびら)」が出たのは平安時代ですが、江戸時代になるまで部屋着の最たるものであり、浴衣で外出をすると言うのはパジャマを着て外出をするようなものでした。
この浴衣の扱いが変わったのは江戸時代の頃でして、この頃近所の花火大会や夕方以降の夏祭りに行く程度なら浴衣でも良いと言う風潮に変化をし、現在の外出用浴衣へ繋がる日本の夏祭りの定番文化となりました。
しかし、温泉旅館では今でも浴衣を寝巻きとして常備してるため、旅館側は常備している浴衣をパジャマとして認識しています。
なので、浴衣を着て部屋を出ると言うのはパジャマを着たまま部屋を出ることに相当しますので、出かけられる場所と出かけられない場所が出来てしまうのです。
ただ、自宅の台所ならパジャマで朝食を取っても平気なように、宿泊客しか利用しない場所である場合は温泉旅館の浴衣で過ごして良いとされています。
この辺の線引きに関しては旅館側で決めていますので、気になる場合はフロントに聞いてみましょう。
まとめ
温泉旅館の浴衣の着方やマナーについてまとめるとこのようになります。
- 温泉旅館の浴衣は男女兼用。おはしよりは裾が長い時だけ使用する。
- 温泉旅館の浴衣はパジャマ。外出できる場所には制限がある。
- 温泉旅館の浴衣でどこまで行けるか?は旅館で異なる。気になる場合はフロントに聞いてみる。
温泉旅館の浴衣の着方やマナーについて紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
ちなみに、温泉旅館でも場所によっては外出する事が可能になる外出用の浴衣を用意している所が有りますので、どうしても浴衣で温泉街を歩くのを楽しみたい人は、行く前に旅館に問い合わせてみましょう。
もちろん、温泉旅館の用意した浴衣でないのなら外出しても問題になりませんので、自前の浴衣を持参しても良いです。